大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和30(あ)1999 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人井上守三の上告趣意第一点、二について。

犯罪の主観的要件に属するものについての直接の証拠は、当該公判廷外の被告人

の自白だけであつても、その客観的構成要件たる事実について他に確証があり、右

被告人の自白の真実性が保障せられるものと認められる以上、それらの各証拠を綜

合して犯罪事実の全体を認定することが、憲法三八条三項に違反するものでないこ

とは、当裁判所の判例とするところであり(昭和二四年(れ)八二九号同二五年一

一月二九日大法廷判決、集四巻一一号二四〇二頁、昭和二四年(れ)一四二八号同

二六年一月三一日大法廷判決、集五巻一号一二九頁)、原判決は、所論第一審判決

判示第四の(一)及び(二)の各事実について、同判決挙示の証拠のうちとくに被

告人の検察官事務取扱検察事務官に対する第三回供述調書により被告人の知情の点

を認め得べく、これに同判決挙示のその余の各証拠をそれぞれ綜合すれば、第一審

判決判示第四の(一)及び(二)の各事実を認めることができる旨を判示しており、

原判決の右判断は前記当裁判所の判例の趣旨に従つてなされたものと認められ違憲

ということはできないから、論旨は理由がない。

同第一点、一は、事実誤認の主張であり、同第二点は、量刑の非難で、いずれも

刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

昭和三〇年一〇月一一日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 河 村 又 介

- 1 -

裁判官 島 保

裁判官 小 林 俊 三

裁判官 本 村 善 太 郎

裁判官 垂 水 克 己

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!